保険金受取人VS公正証書遺言書での保険金受取人【相続】
生命保険証書記載の保険金受取人VS公正証書遺言書での保険金受取人
【Q】
先日のご相談者で。Rさんからの相談
Rさん(私)の家族は、兄、R(私)の2人だけです。父はすでに他界しております。父が他界したときに、母は父の死亡保険金を受け取りました。母は、「私が受け取った死亡保険金のうち、いくらかずつ2人の息子に分けてあげたい」といい、母自身が生命保険に加入し、兄を受取人として1000万円の死亡保険、私(R) を受取人として1000万円の死亡保険金にそれぞれ証券を分けて加入し、それぞれ兄弟に保険証券を渡してくれました。
その後、月日が経ち、母と兄はどんどん疎遠になり、兄がたまに家に帰ってきても家にある母のお金を勝手に取っていったりして、兄と母の関係性はどんどん悪くなっていきました。
そんな母も高齢になり、自分の死を考えるようになったのか?わかりませんが、公正証書遺言書を書いたと母から告げられました。
私(R)や兄は内容を知りません。そんな、母も、つい先日、病気になり亡くなりました。
そして、公正証書の内容がわかり、母が生前加入した兄を死亡保険金受取に指定いた保険の受取人を私(R) に変更するという内容の記載がありました。
この内容をみて兄が怒り、「当初の受取人は私だ!先に指定されている私が受取人だ!」と言っています。確かに保険証券を持っているのは兄です。
どちらが正しいのでしょうか?教えて下さい。
【A】
お話をお伺いして私が1つ思ったのが、お母様がなぜ生命保険会社に連絡して、受取人変更をせず、公正証書遺言書で受取人変更をしたか?ということです。
私の推測ですが、もしかしたら保険証券をお兄様に渡しているため、変更すると通知が行くと思ったのかもしれません。←(実際、受取人変更をした変更通知は、契約者の住所へ送付されるため、お母様が契約者であれば、お兄様のところには変更のお知らせは行きません)
受取人変更をお兄様に知られないで変更できないか?考えたのか?誰かに聞いたのか?お母様の思いが私には伝わります。
お兄様の言ったことは間違いで、平成22年4月1日施行の改正保険法により、遺言書で保険金受取人を変更することができるようになりました。
つまり、『後に作成された公正証書遺言書が有効』となります。
※後に作成された書類が前に作成されている書類の上塗りをするようなイメージです。
ただ、保険会社は公正証書遺言書の存在を知りませんので、保険証券で記載されている保険金受取人からの請求で支払ってしまう可能性もございます。
支払った後に公正証書遺言書の存在を伝えても、あとは相続人間で話し合うしか手がなくなります。
Rさんの方から保険会社に早めに連絡し、公正証書遺言書の存在を知らせて、手続き行ってください。
相続が発生する前に、「マネー相談ドットコム」へご相談ご予約下さい。
【WRITER:太田】