孤独死した独身の姉。姉の遺産は誰に・・【相続】
孤独死した独身の姉。姉の遺産は誰に・・
本日は、お客様のAさんから聞いたお話です。。
私は、姉と2人姉妹です。父と母は早くに亡くなりました。父は公務員だったため、早くに家を買い、ローンを完済していました。私は既に結婚しているため、実家を出ていますが、両親が亡くなってからは独身の姉が実家に一人で住んでいました。
別々に暮らしているとはいえ、歩いて15分程度の距離にお互い住んでいたため、月に一回程度は連絡したり、食事したり交流はありました。姉妹の仲は良い方だったと思います。
そんな中、姉に電話してもつながらない。私は仕事が忙しいのかな?と考えて数か月何事もなく暮らしていたのですが、警察から「私の実家から異臭がする」と電話がありました。
警察の方が「お姉様にご連絡してもお電話がつながりません。お手数ですが実家の方に今から来て頂いて、一緒に確認お願いできませんか?」と言われ、私は、異臭?と聞き、何かいやな予感がする・・と思いながら、急いで実家に行きました。
実家に着き、警察と共に玄関前に立つと、確かにドアを開ける前から異臭がする・・。そして、ドアを開けると玄関へ向かう廊下で、姉が倒れており、亡くなっていました。
実は、姉は、亡くなる2か月ほど前に会社を辞めていました。私はそのことを全く聞いておらず、知りませんでした。会社から無断欠勤の連絡が入らなかったのは、すでに退職していたからです。私も姉は働いていると思っていたので、安心していたことが、今回姉の遺体をしばらく放置することになる原因になってしまいました。
後の警察による鑑定の結果、死後一カ月程度が経っていました。結果的に事件性はなかったものの、警察のDNA鑑定の結果が出るのに半年ほどの時間がかかりました。
死後半年以上経ってから、ようやく戸籍謄本(除籍)を取ることができたのです。死亡時間は通常「●月●日」「●時●分」と記載されるものですが、今回は「●月●日~●月●日の間」となっています。特殊清掃などにかかったお金も葬儀費用もすべて、私が立て替えることになりました。姉が残した遺産で費用は賄えると考えたからです。
姉の死亡後、姉の遺産額につて、以下の通りだとわかりました。
・両親からの自宅(実家) 約3000万円
※これは、両親が亡くなった時に、私と姉で相談して姉名義にしました。
・姉の預金口座 2000万円
※退職金が支払われており、合算額です。
合計、5000万円
姉は、一度も結婚したことがなく、離婚歴もありませんし、子供もいません。なので私が姉の財産を引き継ぐと勝手に思っていました。
しかし、私の考えは間違っていました。
私たち姉妹以外に相続人がいたのです!それは祖母の存在でした。民法では相続人の順位として直系尊属を第2順位としています。
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、それ以外の人は次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
第1順位 死亡した人の子供
第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
第3順位 死亡した人の兄弟姉妹
今回のケースは、姉が亡くなり、その両親は既に他界しています。よって妹が相続人になりそうですが、第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないときにはじめて相続人になります。今回は第2順位の祖母が存命という非常に稀なケースでした。
祖母は、気のやさしい人で孫の私たち姉妹をかわいがってくれました。小さな頃は、よく遊んでもらいました。ただ、私たち姉妹が大きくなってからはあまり会う機会がなく、疎遠になりがちでした。
ただ、私としたら孫のため自ら進んで相続を放棄してくれると思っていました。ところが、実際は違います。祖母からは「どうせ私が死んだら家はあなたのものだから、今回は相続人である私がもらっておくよ」と言うのです。
祖母曰く「相続人である私が家をもらって何か問題あるのかね?」という具合です。お金がからむと、人は変わってしまうのでしょうか。
私は、祖母との関係を壊したくありませんでしたので、姉の遺産は祖母が全部受け取ることになりました。
ただ、私にも1点だけ、受け取れる姉の財産がありました。それは死亡保険金です。姉が生前、妹を死亡保険金受取人とする死亡保険に500万円ほど入っていたのです。
生命保険は、被相続人が契約者・被保険者であり、特定の方が受取人として指定されている場合、この生命保険の死亡保険金は受取人固有の財産になるものと考えられています。
よってこの死亡保険金は祖母ではなく死亡保険金受取人である妹に支払われるのです。
【祖母が受け継いだ、遺産の実家については・・・】
実家をもらった祖母は、相続登記が終了するとすぐに売却となったのです。
しかし、孤独死があった物件は、一般的には殺人事件や自殺があった事故物件というわけではありません。ただし、この家の買主に告知事項としてきちんと本件を説明して売却する義務があります。
この家の立地は、人気のエリアにあり、買い手候補はたくさんいたのですが、孤独死があったということを買主候補に説明すると、大体、購入を見送られてしまいました。結果として、この家の最近の取引価格から10%近くのディスカウントでようやく買い手が付いたのです。
私は、まさか祖母がそんなに早く自宅を売却してしまうとは思っていませんでした。
私が小さい頃、家族で過ごした我が家をすぐに売却してしまった祖母を、私は未だに許すことはできていません・・・・。
結論!
親族同士争うなんて仲がいいのにありえないと思っている方!お金が絡むと親族どうしでも貧富の差や、それぞれの生活環境などで、争いになってしまう事はよくあることです。自分の親族はあり得ないなど思わない方がいいです。もちろん、金額の大小でもありません。少ない金額で揉める場合もあります。生前に自分の死後残される遺族の事も考えて、きっちり相続対策してあげるのも本当のやさしさかもしれません。
相続が発生する前に、「マネー相談ドットコム」へご相談ご予約下さい。
【ご相談に来られる方に多いのは・・・】
・相続人が兄弟姉妹のみで話がまとまらない方
・お父さんが再婚で前妻に子供がいる方
・内縁関係のご夫婦 ETC・・
【WRITER:太田】